「随分と盛り上がっていますね」
こちらへ歩いてくるのは、小柄で切れ目な男の人と優しそうな雰囲気な男の人。
「山崎(やまざき)さん、山南(さんなん)さんも!」
平助君が嬉しそうに声を上げる。
「山南さんはともかく…山崎さんが早く来るなんて珍しいですね。
いつもは開始ギリギリまで医務室にいるのに…」
斎藤さんが不思議そうな顔で尋ねた。
「あぁ。医療班に入る娘さんがこちらへ向かったと聞いて会いに来たんです」
そう言った小柄な男の人の視線が私に止まる。
「あなたですか?」
「はい…!市川遥と申します」
「私は山崎 烝(やまざき すすむ)。新選組では医療班長、監察を務めています」
軽く会釈すると、山崎さんはもう一人の優しそうな男の人を手で示した。
「そしてこちらは山南 敬助(さんなん けいすけ)。新選組の総長です」
「初めまして。山南です」
柔和な笑みを浮かべ、丁寧に頭を下げる山南さん。