微笑ましい気持ちで見つめていると、いつの間にか…男の人の顔はこちらに向けられていた。
「平助。総司の横の…彼女は誰なんだ?」
「あぁ!そういえば紹介してなかったな…。はるー!こっち来て!」
「うんっ」
平助くんに手を振られ、私は二人の元へ歩み寄る。
「一!この子ははる。新選組に新しく入ったお医者さんなんだ!」
「昨日副長が話してた子のことか…」
平助くんの紹介に、男の人は納得したように頷くと、私の方を見下ろした。
「俺は斎藤一(さいとう はじめ)だ」
「よろしくお願いします…斎藤さん。
さっきの正面打ち、すごくステキでした」
「そうか…」
笑顔をで話しかけたはずが…返ってきたのは不愛想な返事で。
目を合わせてくれたのも名乗った一瞬だけ。
斎藤さんはクールな顔のまま、斜め下を見つめている。