藤堂さんは私の目をじぃっと見つめ、ブツブツ呟くと…
「桜は春の花ってことで”はる”って呼ぶな。
俺のことは平助って呼んで!」
ニカッと白い歯を見せて笑った。
はる…?
「平助はあだ名をつけるのが趣味なんですよ」
沖田さんが人差し指を立てて教えてくれた。
なるほど…。
「わかりました。よろしくお願いします、平助さん」
「うー。”さん”付けは他人行儀だな。
俺ら歳も同じくらいだし、敬語もいらないだろ」
「じゃ、じゃあ平助…くん?」
「んーまぁそれでいいか。よろしくな、はる!」
無邪気な笑顔で、ポンと私の肩を叩く平助くんに自然と笑みがこぼれた。
平助くん…
明るくて人懐っこい人だな…。