焦ったところへ母が戻って来た。

「ごめんね、
子機に切り換えてびっくりしたでしょ。」
気まずそうに言った。

「誰からだったの。」
箸が止まったまま聞いた。

「ごめんね、何もないから。」
顔を背けて言った。

「何もないってどういう事?変だよ。」

隠し事をする母は初めてだったので
怒りと共に不安にかられ、
食べ残したまま二階の自分の部屋に駆け上がった。

「美沙希ー。」
心配した母が呼び掛けたが無視していた。