「そそっかしくなんかないですよ。
コーヒーもテーブル流れる間に冷めてたみたいで
大丈夫ですから。
クリーニング代なんていらないですよ。
気にしないで下さい。」

本当は足が熱かったけれど我慢して、
心配かけない様にこう言った。
いつもお世話になっているのに
もらえるはずなどなかったし。

「そう?悪いわね。」
途端に平然とした顔になった。

その顔を見て腑に落ちないものを感じたが
「絵の話に戻りましょう。
私の絵なんて全然だわ。
もしかしたら私のは諦められているのかも。
素質のある元山さんだから
あれこれ手直しをして
もっと伸びてもらおうと思っているのかも知れないわ。」

こういう考え方もあると思って言ってみた。