「ええ、いつも言ってるんですよ。
美沙希が大きくなれたのもおばさんのおかげだって。
おばさんはいい人だって。」
普段会話してる事を素直に話した。

「いい人だなんて。
そんな事言ってくれてるんだ。」

笑顔で言ったかと思った途端下を向き
コーヒーカップを指で揺らしながら続けた。

「それにしても及川さんて絵がうまいのね。
いつも誉められて。
私なんて直されてばかりで恥ずかしいわ。」

そう言うと同時に
カップが母の方に向かって倒れ、
母が履いていたベージュに茶色のチェックのスカートに
見事に流れた。

小さなテーブルだったので
気付いてから避ける間がなかった。