…とーーーーーーーーー

「〜〜…新入生、退場!」

おっと、あっぶない。

もう退場か。

いつの間に校長先生の話終わってたんだろう。

全然気が付かなかった。

やばいな。結構長い間ぼけっとしてたのかなー。

腰痛いー!椅子座ってて腰痛くなるほどわたしが自分で思っている以上に時間経ってるか。

まあぼーっとしてない時間だけでも長かったけど、もう教室に戻れるのならいいや。

出席番号が前の人に続き、わたしは歩き出した。

吹奏楽部が演奏しているのが見える。

生徒会の役員の先輩方がわたしたち新入生の方を見て笑顔で拍手をしてくれているのも見える。

名前も知らない他学年の先生方や、来賓の方々も笑いながら拍手を送ってくれている。

そんな体育館の様子を見渡し、今になってどきどきという音が自分の胸から聞こえてきた。

これは緊張?不安?

それとも期待?希望?

それはわたしにもわからないけど、中学校の入学式の時と同じような、なんだか不思議な気持ちになった。

そして、一歩、体育館の外に出た。

出てすぐ。

軽くうつむいていたわたしにみえたもの。







大きな影。





見上げてみれば
ついさっき、1時間前くらいに見た大きな桜の木があった。