スタートしてすぐ、あまり差がない3位と2位を抜いた。

この時点で僕は2位。

1位の選手はちょっと離れているけど、僕が本気を出せば抜けそうだよ。


「ガンバレ」
「スゴイ!あと1人だよ!」

僕の学校の声援が大きくなる。
でも僕は、ほかのみんなの声援なんていらない。

君からの声援が届けば、それだけで頑張れる。

そう思っていたとき―



「あと1人だよ。
もう少し、頑張って!」

確かに、君の声が聞こえた。

僕は、無意識にスピードを上げた。

前を走る選手の姿が、どんどん近づいてくる。

その差5メートル…

3メートル…

2メートル…



ゴールまで、あと5メートル…


やっと前を走る選手と肩を並べた。