「あ、こん、にちは。」

恥ずかしそうに、照れくさそうに、はにかみながら少し頭を下げて挨拶してくれた彼は、やはりどこか悲しそうで。



けれど、「どうしたんですか?」なんて聞けなくて、

私も小さく頭を下げ、挨拶をした。



「ここ、景色・・・眺めすごくいいですね。」


頭だけを街の方へ向け、そう小さく、優しく言葉を出した彼の横顔は、先程の表情に少しだけ安堵が混じっていて。





この景色が彼の心を少しだけでも癒せたとするのなら、私は嬉しかった。


私がつくった高さでも、街でも、空でもないのに。



でも――・・・ただ、




ただ、嬉しかった。