(あ・・・)


私の家を背に街を見ていたのであろう彼の背中は、何がきっかけだったのか、突然、しかしゆっくりと反転し、今度は涙雨になっている空を仰ぐ様に目を閉じて、頭を上げた。




彼の顔には何度も何度も雨が当たる。


当たる場所、流れる場所に寄っては、本当に泣いている様で。



少しの間だけ上を向いていた彼は、頭を戻し、目を開けた。



すると、あまりに私が凝視していたからか、彼の視線は流れる様にこちらに向いて・・・





「あ・・・」

(え・・・)







私と彼は、出逢った。