(あの時が、終わりで、始まりだった) (どうして、彼には、私が――) 「寝ないの?」 誰もいない、何の音も聞こえない、街を見ながら彼に初めて会った日の事を思い返していた私は、声を掛けられなければいつも彼が来た事に気付かない。 (あなたは?) 「寝られなかったから、来た」 そんな事に、彼も、私も、慣れた様で、それが当たり前になっている。