彼女はバスと衝突し、段差を乗り越え、植木を破壊して歩道に突っ込んだ大型トラックに飛ばされ、何十メートルも先の公園の中心で亡くなった。
車道にはもう走れないバス、公園には彼女と放心状態の運転手が乗ったままのトラック。
そして動かない彼女の腕の中には、───男の子がいた。
バスの乗客の内の一人が彼女を容態を確認し、また違う誰かが彼女の腕の中で泣き叫ぶ男の子を抱き上げ「大丈夫?」と問いかけても
「『守れてよかった。誰かの役に立ててよかった。ありがとう』」
それだけを何度も何度も繰り返していたという。
「・・・・守れて、よかった。
だれ、かの・・・役にたて、てよか・・・た・・・
ありが・・・と、う」