「起きてるかなーって思って。
もしいなかったら階段の上り損だったけど、よかった」
いつもは手ぶらで来る彼の手には小さな紙袋がぶら下がっている。
どこからかの買い物帰りだろうか。
「これ?帰りに友達からCD借りてきたんだ」
私の視線に気づいた彼が、そう説明してくれた。
「流がれ月って曲」
(流れ月?)
「星と月って動いてるじゃん?
なんて言ったっけ?あのー・・忘れたけど。
それを繋げていけば毎晩流れ星だから、流れ星と月を合わせて流がれ月」
何気ない日にも見続け追いかける者には
違って見える。繋がって見える。
弧を描いて、少しずつ進んでいく星。
(なら、今日も流れ星、流れ月なのね。)
「うん」
私たちは、いつもの様に、上を見上げる。