真夏に降る雨はどうしてあんなにも冷たいんだろうね。

熱された空気を沈めて蜃気楼を壊しながら、ゆっくりと街を潤してゆく。

秋の雨とは違って、優しく雅に。

けれど、肌に触れればその冷たさに身体が跳ねる。

それを知りたくないから、全員が必死に雨から身を守ろうとする中でキミは。

一人でころころころ踊るんだよね。

”雨はどきどきするの”

花が命の雨に喜んでいるみたいに。

あの時は、キミは夏の雨に触れる事は出来なかっただろうけどね。