キミから乱暴に受け取らされたアップルタルトをしっかりと掴みながら、僕は廊下の真ん中で、久しぶりに声を上げて涙が中々止まらない位に笑ったんだ。

久しぶり振りすぎて、ちょっと筋肉痛になったのは、悔しいから言わないよ。

「笑ったらお腹すいた」

ひとしきり笑って、涙も流れるのを諦めてくれたら、次はお腹がふよふよ、と騒ぎ出したんだ。

お弁当を食べ終わった後だったのに。

「私も!千尋くんに怒られたらお腹すいちゃった!」
「どんな理由なの」

キミはどんな事だって肯定的に捉えるから、怒られた事だって、お腹が空いた理由だっていつも嬉しそうに歌っていたから、この時僕は気づかなかったけれど。