「え!なん、っ」
「ぶへ…」

キミが勢い任せに突き出した大きなお皿が、緩く弧を描いて廊下を飛んだ。

キミが転んだ事を耳だけで判断しながら、それの着地点になんとか入り込んだ僕のベストに吸収されたお皿がぽすん、と可愛らしい音を立てた。

「なーいすきゃっち!」

お皿とラップの中で優雅に座るアップルタルトを見た瞬間に、物凄く熱い息が零れたのを、本当によく覚えているよ。

夏の前の蒸し暑さには、結構堪えたよ。

「…」

他の生徒がすごーい。やびっくりしたー。と、遠い場所で喋っていた。