それでも、キミは溜息をつかずに、弓をしならせてくれたんだ。

「近々恋人になる者ですう♡」

キミが言うには、あまりに僕の顔が変わらないからイラッとして対抗してやったらしいけれど。

残念ながら僕は、キミ専門の名探偵だから、自身の事もよく分からない。

だからあの時、キミの言葉をどう受け取ったのか、想像しても答えに自信はないんだけれど。

多分、また、最低な事を言ったんじゃないかな。


「いや、何もないよ」

もう一度言うよ。キミが溜息と無縁で本当に良かった。