この時の僕は、随分と溜息をついていたんだね。

「幸せ逃げちゃいますよ?」

立ち上がったキミに、そう言われてしまう位には。

「誰のせいだと思ってるの」
「うへ?」

そういえば、キミが溜息をついているの、見たことなかったな。なんて今更ながらに気づく。

キミは、後悔とか、呆れとか、諦めとは無縁だったからね。

そういうものがキミに備わっていれば、きっと、僕が自分の気持ちに気づく前にキミは、溜息をついて僕から離れてしまっていたはずだ。

キミが溜息と無縁で良かった。って心すべてで感謝するよ。