あの時は、はじまりの日の翌日。つまり僕とキミが出会って二日目の朝だった。

皆がそうするように校門を跨いで、中庭で水を撒いている美化委員の横を歩いていた。

ホースから弧を描いて落ちる水飛沫が微かに当たって、擽ったかった。

とたとたとたとたとた

止められなくなってシリーズものを一夜で読み切ってしまった僕は、不足した睡眠で何度も欠伸を噛み殺していた。

そのせいで登校中は、ずっと視界がぼやけていたのを覚えている。

とたとたとたとたとたとたとたとたとたとたとたとたとたとた

一限目をサボろうか。それとも教室で寝ようか。緩く悩みながら欠伸をしようとした時。

「うわ、…ぷ」
「ム…」

突如背中を突いた衝撃に、欠伸が中途半端に止まった。うなうなした。