福嶋と私が登ってきた道とは違う道から、リカが現れた。

息を切らせたリカは大きな目で私を鋭く掴む。

「抜け駆けって、」
「相手が福嶋って知ってたんでしょ?なら変わってくれれば良かったじゃん!」
「そんな、」
「そしたら私が福嶋とカップルになれたのにー!」

あまりに鋭く掴んでくるリカは、そこまで怒っているワケではないみたいだけれど、言い訳はさせないとその距離を詰めてきて。

「クジで決まった事だろ」

どう言えば彼女が機嫌を直してくれるのかと模索していた時に、先ほど惚けながら見たばかりの背中が視界を埋めた。