「そういえば最近、福嶋と私一緒になること多いわね」
「ああ」

まだはるかちゃんの携帯から全てのカップルが揃ったという報告は鳴らない。

それが鳴らなければ当然片付けられないし、消してしまう程の風が吹いてこないからする事もない。

「12年も同じクラスなのに今更なんだけど」
「…ああ」
「噂とかはその度に聞いてたけどね」
「ああ」

放課後の教室に似た色の灯りの中で、今日も福嶋と私の静かで緩やかなテンポの会話が続く。

「…やっぱり伝わってる?」
「ああ」

福嶋の優しい相槌がまるで優しい風になって、私の何かを、目の前で灯る火を踊らせる風ように躍らせる。



「どうしてかな…、」


その何かが何なのかは分からないけれど。