吹いている風は火を消してしまう程のものではなかったから、それ以降チャッカマンの出番はなくて。

カップルが戻りきるまでする事がなくなったはるか先生と福嶋と私は、並んで立ったまま時間が過ぎるのを待っていた。


それに痺れを切らせたのは私で。

「ねえ福嶋、あそこ行ってみない?」

福嶋に声を掛けて、たくさんの柔らかな火がゆらゆら揺れる空間の中へと走ると。

ほんの少し時間を開けて、後ろから緩やかなテンポの足音が聞こえてきた。