息が小さく弾んだ。
「白雪?」
「わ、」
カーテンを閉め切って一人で笑った時、とても心地よい声に呼ばれて肩が跳ねた。
振り返ると雪崩れないのが不思議な位の紙を抱えた福嶋が、教室の向こうの廊下にいた。
「福嶋、どうしたのそれ」
福嶋が、廊下と教室の短い境界線を越える。
「東雲に捕まった」
途端に教室が、橙の鋭さをカーテンが和らげ柔らかな光に染まる優しい教室に変わった。
福嶋に駆け寄り紙山の上にある缶と山の一部を持つと、サンキュとまた心地良い声が返ってきた。
「はるか先生に?」
「手伝えって」
「先生は?」
「臨時職員会議中」
福嶋が机上へ器用に置いて一切崩れていない大きな山の横に、少し曲がってしまった小さな山とこたこたと鳴く缶を置くと、横にはきちんと福嶋の鞄が掛かっていて。
一人じゃなかったんだと思うと嬉しくなって、表情が緩んだ。