辿り着いた頂上は、たくさんのロウソクの灯りでとても明るくなっていて。

「わあ、」

怯えていた肩も自然と力が抜けて、温泉で疲労を癒したばかりの脚でそこに駆け寄った。

他のカップルは一組もいないロウソクが灯っている丘の上は、まるで落ちてきた夜空に見えた。

「よお。来たな。」
「すごいですね」
「祭りの規模だよな。これ。」

私がはるか先生と話している間に、福嶋は持っていたロウソクで福嶋と私が担当のロウソクに火を移していて。

「白雪、最後の蝋燭付けろよ」

最後の一つは私に灯させてくれた。

灯っていないロウソクに福嶋から受け取ったロウソクの火を移すと、ひりりと小さな音を一つ立ててゆっくりと光が生まれた。

「夜に星を飾ってる気分」

それをそのまま言葉にすると、福嶋からは何も返ってはこなかったけれど。

何となく福嶋の優しい視線を感じて、何となく嬉しくなって、一人で笑った。