たくさんの思い出を作ろうと伸ばし、許容ぎりぎりまで疲労を蓄えた脚は少し震えていて。

運ばれてくる料理を平らげ、アイスや肉巻きも重なりたぬき顔負けのお腹を抱えて、明日の海で溺れてしまわないよう温泉で存分に休ませた。

しおりの予定ではそこでイベントは終わってしまうけれど、今日は違う。

これから、先生たちが秘密で計画してきたサプライズが待っている。

「22時にロビーへ集合して下さい。」

ご飯の前にそう言われしおりには書かれていない予定に、みんな気怠さの奥に興奮を押し込めた表情で返事をしていた。

けれど、時間や集合場所から推察していけば肝試しという単語は容易く生まれてしまい。

「高校になって肝試しとかさー。」
「ガキじゃないんだから!」

ロビーへと向かう道中では既に肝試しは確定されていて。

「肝試しより密会希望っ!」
「あははっそれ間違いない!」
「(サプライズになってない)」
「姫?どしたの?」
「ん?ナイショ」

あんなに追加事項を書き足されていた紙を思い出して、少し悲しくなった。