「へへ…。」

閉ざされた空間に、初めて聞く彼の笑い声が一つ跳ねた。

「ん?」
「え?あっいやあのあの、白雪さんと福嶋くんってお互いの事よく分かってるんだなって。」

それは無意識に出たものの様で少し慌てふためいた後、サカキはそう言いながら表情を緩めた。

「白雪さんも言ってたから。福嶋くんは自分に向けられた何かを無下にはしないって。」
「…白雪が?」

今度は俺が慌てる番だった。と言っても一瞬鼓動が跳ねた程度だったが。

それには気付かないサカキが、少し頬を染めながら続ける。

まるで真っ白だったキャンパスに数種類の色が混ざり合って小さな丸を描いていく様に。

「うん。だから、その言葉に背中を押されて福嶋くんに話し掛けられたんだ。」

それは恐らく、白雪への恋心が故ではない。

「サカキにとっては良い出目だったわけだ」
「…うん。」

彼自身が、白雪が示した自分の特技に付けた色。

「僕、自分の特技に自信を持ってみよう思う。」


彼らしい、優しい色ばかりで作られた丸い自信の色だった。