「白雪!」

サカキくんががま口だけを持って部屋へと引き返していった数分後に、部屋に繋がるエレベーターがある方とは違う廊下から走ってくる福嶋の姿が見えた。

「福嶋、」
「悪い。待たせただろ」

運動神経抜群の福嶋だから息切れとまではいかないけれど、少し髪が崩れて短い言葉も弾んでいる。

「ううん」

一度小さく息を零して呼吸を整えた福嶋は、行くか。と歩き出そうとする。

「福嶋、お風呂まだなんでしょう?入ってきたら?」
「いい。先生も待たしてんだろ。後でシャワー浴びる」
「でも、」
「後二日あるから大丈夫だ」


やっぱり福嶋は優しい。

多分今頃部屋でドキドキしている彼に大丈夫だよとエールを送った。