「福嶋、見なかった?」

その後に彼と福嶋が同じ部屋だった事を思い出して、もしかしたら福嶋がいる場所を知っているかもしれないと聞いてみると。

「福嶋くんは、見てない、よ。まだ部屋にも戻ってない…と思う。さっき外に向かって行ったからあ、いや…あの多分なんだけど。」

とてもぎこちないけれど、いつも挨拶を返してくれる時と同じ優しい声が返ってきた。


福嶋の心地良い優しさとは少し違う、精一杯の力で放たれる声に包まれた優しさ。