薄く明るい露草色の中で鉄色が脚の動きに合わせてはためくのを感じながらベランダへと出る。
みんなはもう殆どが夏服で、私と同じ濃縹色のリボンやネクタイがまだその薄さに馴染めていない様に遠慮がちに緩んで見える。
「姫おはよー。」
「福嶋のとこで何話してたの?」
「修旅で誰か告白するとか言ってなかったー?」
鎖骨の間で鋭く朝日に反射するネックレスを揺らしながら、リカがニイっと教室側の口角を上げた。
噂好きで流行に誰よりも早く乗るリカにとって、最新の恋愛事情は一番堪らない話題。
みんなの横を抜けて胡粉色の壁に手をかける。朝日の熱を吸収しているだろうと思っていたそれは冷たかった。
「福嶋がまだ冬服なの文句言ってたから別にいいじゃないって言っただけ」
右手を突き出すと、小さい風がとても心地よく指の間を通り抜けていった。
鼻でゆっくり吸い込めば、それにはもう夏と雨の匂いが混じっていて。
爽やかな風が鋭い日差しに熱せられた空気を冷やす季節は、もうすぐそこまで来ているんだと分かった。
みんなはもう殆どが夏服で、私と同じ濃縹色のリボンやネクタイがまだその薄さに馴染めていない様に遠慮がちに緩んで見える。
「姫おはよー。」
「福嶋のとこで何話してたの?」
「修旅で誰か告白するとか言ってなかったー?」
鎖骨の間で鋭く朝日に反射するネックレスを揺らしながら、リカがニイっと教室側の口角を上げた。
噂好きで流行に誰よりも早く乗るリカにとって、最新の恋愛事情は一番堪らない話題。
みんなの横を抜けて胡粉色の壁に手をかける。朝日の熱を吸収しているだろうと思っていたそれは冷たかった。
「福嶋がまだ冬服なの文句言ってたから別にいいじゃないって言っただけ」
右手を突き出すと、小さい風がとても心地よく指の間を通り抜けていった。
鼻でゆっくり吸い込めば、それにはもう夏と雨の匂いが混じっていて。
爽やかな風が鋭い日差しに熱せられた空気を冷やす季節は、もうすぐそこまで来ているんだと分かった。