「ここに福嶋はいませーん!」
「残念でしたー!」
「えー!?ちょっとその他大勢!福嶋呼んでよ!ふーくーしーまぁあああ!!」
「リカ!股!股!」

彼女の福嶋への空振りしてしまった気持ちに笑うみんなの弾けるような声に、溜息を一つ紛れさせた。


「(どうしてなんて、)」

どうしてなんて私が一番聞きたいこと。

もう一回、溜息を紛れさせた。先程よりも少しだけ深く。これであの恋の溜息は最後と決意して。

ガラス窓の奥から次のクラスの声が籠って聞こえてきて、随分と時間をオーバーしていていたんだと知る。

はしゃぐみんなと凄いよねと笑い合いながら室内風呂を抜けて、脱衣所で順番に体重を測る。

「やばすっ!入る前より100g減ってる!もっかい入ってこよっかなー!」

まだまだ夜のお楽しみは続くから、誰も逆上せている暇なんてなくて。

少しだけ落ち込んだ私の気持ちもすぐに元に戻って、髪を乾かし合って同棲ごっこを楽しんだ。

この流れもいつものこと。やっぱり悲しさが楽しいには敵わない。

この後もまた何度か同じ話題、同じ質問があるだろう。そしてその時にまた少し気持が落ち込んでまたすぐに戻る。



私の喜怒哀楽は、”喜”が大半を占めているんだと思う。