「わあ、写真で見るより広い」
お風呂は三種類の温泉と露天風呂があり、タオルで身体を隠すのも燻っているものも忘れてはしゃぎ回った。
「姫細いのに結構胸あるー!何でもかんでも羨ましいなーもう!」
分厚い壁の上からは男子の声が漏れてきていたけれど、楽しさに麻痺して気にせず胸やお尻を触り合った。
やっと落ち着いたのは、身体も洗い終わり遠くから波の音が聞こえてくる露天風呂に入った頃。
一通りはしゃぎ終わった後に待っているのは、やっぱり恋の話で。
「姫なんで田中と別れちゃったの?」
そろそろ聞かれるだろうなと思っていた私の失恋話から、夜中まで続くその長い時間は始まった。
不安と予感はどうしても当たる。期待や可能性は当たった試しなんて殆どないのに。
”――――――――?”
二日前引き出しにしまい込んだ金色のブレスレットを一瞬だけ思い出す。
「折角の修旅なんだから終わった後別れれば良かったのに。」
落ちてきた髪の毛を再度束ね直しながらともだちがいつもの口調でいつもの表情でそう放つ。
他の子たちもやっぱりみんないつもと同じで。
だから私もいつもと同じで返し方に戸惑って、うまく言葉を繋げられない。
「勿体ないよ。」
そんなことを言われても私から別れを切りだしたわけじゃないから、どうしようもなかったんだけれど。
夜の海に飲み込まれてしそうな位に小さくううんと唸る。
燻っているものはまだ治まってはいない。
「姫ってすぐフっちゃうもんね。かっこ良くても純粋そうな奴でも。」
誰かが風で乾いた肩にお湯をかける音が響く。
それと同時に大きな綾波がそこに落ちていた女郎花色の月を揺らす。
「もしかしてあんま上手くなかったとかー?」
「うひゃっそうなの?」
「田中泣いたんでしょ?」
「どんな風にフっったの?」
「他に好きな人出来たとかー?」
私の返答を待たず投げてくる怒涛の質問に、私はまた一つ唸るだけ。
お風呂は三種類の温泉と露天風呂があり、タオルで身体を隠すのも燻っているものも忘れてはしゃぎ回った。
「姫細いのに結構胸あるー!何でもかんでも羨ましいなーもう!」
分厚い壁の上からは男子の声が漏れてきていたけれど、楽しさに麻痺して気にせず胸やお尻を触り合った。
やっと落ち着いたのは、身体も洗い終わり遠くから波の音が聞こえてくる露天風呂に入った頃。
一通りはしゃぎ終わった後に待っているのは、やっぱり恋の話で。
「姫なんで田中と別れちゃったの?」
そろそろ聞かれるだろうなと思っていた私の失恋話から、夜中まで続くその長い時間は始まった。
不安と予感はどうしても当たる。期待や可能性は当たった試しなんて殆どないのに。
”――――――――?”
二日前引き出しにしまい込んだ金色のブレスレットを一瞬だけ思い出す。
「折角の修旅なんだから終わった後別れれば良かったのに。」
落ちてきた髪の毛を再度束ね直しながらともだちがいつもの口調でいつもの表情でそう放つ。
他の子たちもやっぱりみんないつもと同じで。
だから私もいつもと同じで返し方に戸惑って、うまく言葉を繋げられない。
「勿体ないよ。」
そんなことを言われても私から別れを切りだしたわけじゃないから、どうしようもなかったんだけれど。
夜の海に飲み込まれてしそうな位に小さくううんと唸る。
燻っているものはまだ治まってはいない。
「姫ってすぐフっちゃうもんね。かっこ良くても純粋そうな奴でも。」
誰かが風で乾いた肩にお湯をかける音が響く。
それと同時に大きな綾波がそこに落ちていた女郎花色の月を揺らす。
「もしかしてあんま上手くなかったとかー?」
「うひゃっそうなの?」
「田中泣いたんでしょ?」
「どんな風にフっったの?」
「他に好きな人出来たとかー?」
私の返答を待たず投げてくる怒涛の質問に、私はまた一つ唸るだけ。