「OKもらっちゃったー!」

こういう日は、いつだってどこかで何かが起こっている。

誰かが告白したりとか。何度も確認した明日の予定に新たな予定を加えていたりとか。普段は繋がない手を皆に隠れて繋いでいたりとか。

「なら私留守番してるわよ。もし先生が来て誰もいなかったら危ないでしょ」

その分妙な緊張と興奮の中で箍が外れてしまいやすいけれど、それすらもきっと街に戻れば思い出になる。

みんなとは真逆の予定変更となってしまった私も、落ち込む暇もなく起こるすべてを出来るだけ思い出として記憶する。

煌き光るみんなの表情や廊下を彩る花や額縁の中で微笑む空の絵、私たちとは違う階のボタンを押していた人の背中まで。

楽しかったこと。輝いていたもの。うれしかったこと。極力すべて。貪欲に。

「だめっっっ!!!」
「白雪さん!」

と、リカが私の肩を鷲掴んだその時、後ろから名前を呼ばれた。

萌葱色のTシャツを着た、隣のクラスの先生の声だった。

規則違反の話している時の先生の声はまるで真後ろにいるみたいで。私もともだちもみんなの肩が大きく跳ねた。

振り返ると先生はまだ少し遠くて、そらそらと空気を何度も手のひらで乱しながらこちらへと向かってきている。