まさかの一番乗りで会場に入ると、とても綺麗な郷土料理がずらりずらりと並んでいて。

「わあ」

白い液体に浸かったご飯。笑う豚の顔。巨大なバット一面を埋めつくすごま豆腐。鮮やかな紅い芋のタルト。丸いドーナツ。

以前間違って中の方を食べて本当に苦い思いをしたゴーヤすらも輝いて見えるんだから、本当に不思議。

「人参しりしり?あは、変ななまえ」

宝石の様に輝くビュッフェに目線を奪われて、あちらこちらへと黒目を忙しなく移していると。

「おい。座る前にこれ引いてくれ。」

先生とホテルの人が集まっている場所から、小さな網籠を持ったはるか先生とバインダーを持った新任の先生がこちらに歩いてきた。

「なんですかこれ?」
「いいから。」

中には四つ折りにされた小さな紙がたくさん入っていて、恐らくクジ引きなのだろうとは理解できたのだけれど。

何の為のクジなのかは教えてくれず、首を傾げながら一つを掴み上げる。

「何番だ。」
「えっと、102です」
「お前か。」
「え?」
「いや。ほら次引けー。」

何が私なのかもやっぱり教えてくれなかったけれど、新任の先生もバインダーに白雪が102で丸っと。と確認しながら印を書いていた。

何のクジ引きなのかも分からない私には推理も出来なくて。潔く諦めてビュッフェに再び目線を奪われながらゆらゆらと席に向かった。