「向こうから見たこの星って、何色に光ってるのかな」

何日残っても片付かなかったその時とは違い、後は完成した冊子を職員室に持っていけばいつもと変わらない教室が朝を迎える。

と言っても私はほとんど片付けてはいないんだけれど。

福嶋があまりに手際良く片付けていくから、私が手伝う隙がなかった。

だから手伝うのは諦めた。こういう潔さにはとても自信がある。

「青、だろうな」
「そうなの?」
「ああ昔の誰かさんが言ってた」
「じゃあ、どこまで遠くの星から見てもこの星は美しいのね」

夜の細い小さな風が福嶋と私を撫でるように窓から教室に入ってきて、カーテンや冊子を優しくはためかせた。

それと共鳴するように福嶋の唐茶の髪と私の髪や鉄色の制服も小さく踊って、少し擽ったい。

「…ほら、白雪行くぞ」
「あっ待ってよ福嶋、」

福嶋が窓を閉めた途端に当然風は入ってこなくなったけれど、まだ教室には夜の風の匂いが漂っていた。