くっ付けた机のうち右端の机に向かい合って座り、出来上がったばかりの山を崩していく。

私はそんなに器用じゃないというより不器用な方に入るから、私が一つの冊子を外している間に福嶋は三つも四つも外れた冊子を交互に重ねていく。

悔しいなあとスピードを早めると上手く外せなくて逆に時間がかかったり破いてしまったり。

「ふ、」

一人でむううと唸っていると、目の前からとても軽やかな息が零れる音が聞こえてきた。

皺が出来てしまった冊子から顔を上げると、福嶋は手元を動かしたまま口の端を微かにしならせていて。

「福嶋、笑った?」
「別に競ってるわけじゃねえだろ」
「だって福嶋、すごく綺麗なのに数倍早いんだもん。悔しくなるわよ」

その表情は微笑を浮かべている程度だけれど。

それがあまり表情が変わらない端整な顔立ちを持つ福嶋だと、水面に綺麗な色の雫が落ちたような表情に見えた。