このまま中途半端に終わってしまうのはどうしても嫌で、どう言えばはるか先生が頷いてくれるのか模索していた時。

「白雪は俺が家まで送り届けます」

静かな息が零れた音の後に、とても心地良い声が優しく鼓膜を叩いた。

声のした方を見るとパソコンを眺めていたはずの福嶋が横にいて。真っ直ぐはるか先生を見ていた。

福嶋ははるか先生の意見に異論はなさそうだったから、同じことを考えていたんだととても驚いた。

「お願いっ先生!」

やっぱり、福嶋には多勢に無勢なんてことわざは通用しない。

先生も家族もきっとはるか先生だって、福嶋の一言でみんな頷いてしまう。

「分かった。」

頷いてくれたはるか先生に、表情筋を緩めて見た福嶋は平常運転だったけれど、それでも私は嬉しくなった。