香りに誘われ、視線を下に落とす。
華奢な姿が目に留まった。どうやら、ぶつかった相手は女子だったようだ。
高校のではない、どこかの制服を着ていた。
あのセーラー服は……高校の近くの中学のだろうか。
中学生だとしたら、学校見学も兼ねてって感じか?俺にもそんな頃があったなぁ。懐かしい。
「怪我してないか?」
「あ、はい。大丈夫です」
今まで俯いていた女子の顔が、そっと上がる。
瞳がかち合うと、気弱そうにふにゃりと微笑まれた。
不覚にも、ドキッとした。
え。
え?
あれ……?
なんだこれ。
息が苦しくなる。
作り笑顔なんかじゃない、純粋なきらめきだけをかき集めたような笑顔だった。
だんだんと赤く、赤く、深紅よりもずっと赤く染まっていく頬が、真っ白な肌を引き立てる。
なぜかどうしようもなく可愛らしくて、魅せられて。視界に焼き付いて離れない。