出来立ての焼きそばが、どこかのテーブルに運ばれる。うまそうな匂いに、ぐうーと腹が鳴った。
俺も遥陽に賛成。この際、食欲を満たせるなら何だっていい。何か食いたい!
「確かこの階にもう1か所、飲食系なかったっけ?」
「あった気がする。……あ、やっぱあった。カレー売ってるらしい」
ここに来る途中、飲食店を見かけたことを思い出した俺のファインプレーと、パンフレットで確認を取る遥陽の仕事の速さ。ナイスコンビネーションだろ?
「んじゃあ、そこ行ってみっかー!」
「そうだな!」
すっかり焼きそばからカレーにターゲットが変わっていた。
碧と要は「ゴーゴー!レッツゴー!」とオリジナルっぽい歌を歌いながら、新たな目的地へ進んでいく。
計画性はゼロ。
この後全員仕事はなく、フリーだからか、気ままにのんびりと自由に過ごす。
さて、俺も「レッツゴー!」とノリよくいきますか。
先を行く碧と要を追いかけ、俺と遥陽もUターンする。
しかし、
――ドンッ!
方向転換した瞬間、誰かとぶつかった。
「あ、悪ぃ」
「す、すみません……!」
ふわっ、と。
鼻をかすめたのは、甘い香り。
まるで、瑞々しい林檎のような。
やみつきになる、香り。