「あ、あの……」
「っ、」
おずおずと頭を上げて、こちらを窺う。
必然的に上目遣いになり、ズキュンッと胸に矢を打たれた気分になる。
うっ、上目遣いはずりぃ……!
「あ、あなたが、ここの掃除を手伝ってくれるっていう先輩ですか……?」
「あ、ああ、そうだ」
一拍遅れて、ぎこちなく返事する。
みぃちゃんから聞いたのだろうか。
「私、1年8組の体育委員、小佐田 りんご【オサダ リンゴ】です」
小佐田、りんご――。
可愛い名前、だな。
なんて今日はついているんだ。
会いたかった人と、会えただけじゃなかった。
目を見ることも、会いたかった人と話すことも、名前を知ることもできたなんて。
みぃちゃんにマジ感謝。
「わざわざお手伝い、すみません。ありがとうございます!」
「い、いや、別に、全然」
むしろ、こっちが「ありがとう」って言いたい。