ほとんど眠気に襲われていた午後の授業を終え、放課後になった。
濃くなった青い空に、夕焼けが混ざっていく。
俺は1人、体育館にいた。
用具室へと進む。
遥陽と要は、サッカー部の活動で忙しい。
俺と同じバスケ部の碧は、中学時代の友達とカラオケらしい。
要するに、掃除を手伝ってくれる奴は、寂しくもいないということだ。
まあ、放課後にわざわざ好んで掃除をやる奴なんていねぇよな。
うん、わかってたさ。「手伝う」と言ってくれる、優しい奴がいないことくらい。
「……めんどくせ」
今日は部活がせっかくのオフなんだから、早く帰ってのんびりしたかったのに。
用具室に着いた。
電気を点けて、用具室内を見渡してみる。
天井の隅には、蜘蛛の巣。
床には、埃や砂だらけ。
空気も汚く、思わず「ごほっ、ごほっ」と大げさなくらいむせてしまった。
「……見事に掃除されてねぇ」
きっと体育教師かどっかの部活の顧問に、用具室が汚いと注意されたんだろう。
だから体育委員に掃除を頼んだんだろうな。