そういえば、屋上に来る前に、担任に言われてたんだった。


なんでも、体育委員になった俺に、頼みたいことがあるとかないとか……。



めんどくせー。



「ちょっと行ってくるわ」


「おー、行ってら」

「なんだ、説教かー?」

「えっ、そうなん?頑張ってこいよ!」



説教ちゃうわ、と碧に反論する。要も純粋に応援するなって。遥陽も笑うな。



俺は肩を大きく落とし、嫌々ながら立ち上がった。


重い扉を開け、校舎内に足を踏み入れる。



昼休みの貴重な睡眠時間があああ……。


昼食食べ終えたら、寝ようと思ってたのに。


次の授業は古典だから、眠くなるんだよな。




最悪だ。






階段を下り、職員室へ行く。


ガラッと音を立てながら扉をスライドさせた。



入ってすぐのところに、俺を呼び出した担任がいた。着慣れたスーツを、ダンディーに着こなしている。



担任の名前は、宮根【ミヤネ】先生。通称みぃちゃん。


あだ名と見た目が不釣り合いすぎる、無精ひげがチャームポイントの独身貴族。

ちなみに、この可愛いあだ名は生徒が勝手に呼んでるだけだ。決してみぃちゃん自身が「呼んで」とねだったわけではない。




「お、やっと来たな」



みぃちゃんも俺に気づき、手招きした。