あの子の名前はなんていうんだろう。
あの子にもう一度会えるだろうか。
頭の中は、林檎色がよく似合うあの子で、溢れ返りそうだった。
「あっ、瑛美からメールだ!」
桜の花々に夢中になっていると、急に碧が携帯の画面に瞳を輝かせた。
「相変わらずラブラブだな、お前ら」
碧と同じ中学出身の要は、呆れながら一笑する。
へぇー、中学の頃からこんなにウザ……ごほんっ、仲がいいのか。
正直、羨ましい。
「ふふんっ、いいだろぉ?」
鼻の下を伸ばし、デレデレした表情で自慢する。
うわ、腹立つ。
「羨ましい」なんて一生言わねぇ。
俺のプライドが、言いたくないと叫んでる。
「つーか、幸」
「ん?」
「いいのか?」
内心葛藤していた俺に、ふと遥陽が声をかけた。
俺は「何がだよ」と言いながら、体の向きを直す。
「さっき先生に、職員室に来るように言われてたじゃねぇか」
「あ!」
しまった、忘れてた!!