「いや……別に」
「ふーん?」
あからさまな嘘だった。
要は気づいていながらも、それ以上深くは追求してこなかった。
要はあまり詮索しない。
聞かれたくないことは、相手が話そうとしない限り、聞いてこない。
心の優しい奴。
碧にも見習ってほしいくらいだ。
碧は逆に「それ絶対嘘だろ!正直に教えろよ」と、土足で侵入してくるタイプ。
良く言って、積極的でポジティブ。
悪く言って、空気の読めないバカ。
まあ、そこが碧のいいところなんだろうけど。
「いつでも相談乗るからな」
「遥陽……」
遥陽とは文化祭の時から、お互いに相談し合っていた。
そんな何回も、頻繁にはしていない。時々する程度だ。それでも相談して吐き出せば、幾分か楽になれた。
「ありがとな」
苦笑気味に感謝すれば、遥陽は目尻を細めた。