友達の手に掴まって起き上がる拍子に、肩につくくらいの髪が揺れた。
ふわり、ふわり。
明るい茶色の髪の毛先が踊る速度に合わせて、俺の心拍数が加速していく。
見間違い、じゃ、ない。
ずっと会いたかった子の姿を、見間違えるわけ……ない。
「見つけた」
あの子だ。
絶対に、あの、セーラー服の女子だ。
高校1年の文化祭中にぶつかった、たった一瞬の出会いから数ヶ月。
いつ何時も忘れられなかった。
甘い蜜に似た香り。
真っ白に透き通った顔を、柔らかく歪める微笑み。
林檎みたいに赤く熟れていく頬。
遠ざかっていく小さな背中だって、忘れられなかったんだ。
彼女の名前が知りたくて。
理由もわからず、また会いたくて。
ずっと、探していた。