《いまはまだ たべてもすっぱい やっぱりにがい あおいだけのちいさなかじつ
はっきり まるっと じゅくすまで あいまいななはふせておこう》
ちょっと難しい言葉の意味を聞いたり、挿絵について話したり。
《やっと ぎゅっと つかまえた みじゅくなまんまのおさないかじつ
あまくもない びみでもない それじゃあだれも ほしがらないにきまってる》
友達が来るまで、たくさん読んで、たくさん喋った。見知らぬ、優しい男の子と。
《どこにでもありふれた ほのかなかおりと はってんとじょうのきずありかじつ
あっちのあかいの いいな ずるいな すいだらけなの やだな いやだな》
しばらくすると、ようやく友達がやって来た。
男の子は察して『じゃあな』と、公園の奥に走っていく。そこには、男の子の友達らしき子どもが何人かいた。合流して、ボール遊びをする。
もしかしたら遊んでる途中で、1人ぼっちの私に気づき、心配してくれたのかもしれない。
帰宅してから、名前を聞いていないことを思い出し、ショックを受けた。もう一度会いたいと、強く願った。
紛れもなく、初恋だった。