そうして、時間は風のように過ぎていき……


季節は巡り、また暖かくなった。



春。


薄紅色に彩られた景色。

暑くも寒くない麗らかな気候。

期待と不安だらけの新生活。



それから……

そこはかとなく漂う、運命の出会いがあるような予感。





桜で埋め尽くされた通学路を、いつも通りたどる。



温かな風に泳がされ、桜の花びらがひらりひらりと遠くのほうまで舞い散っていく。


目の前を通り過ぎた花びらを、意味もなく目で追いかけた。



「俺もついに2年生か……」




結局、セーラー服の女子とは、文化祭の時しか会っていない。


登下校中、時々周りを見てみたりしたが、やはり見つけられなかった。



「そう簡単には会えねぇよな……」



文化祭の時だって、偶然だったし。


それに、あっちは覚えてないかもしれないし。