そのたった一言のエールは、なぜだかひどく重みがあって、胸にじーんと響いた。


遥陽は、俺なんかより大人びているからだろうか。それとも、もっと単純に、友達から応援されたからだろうか。



一気にモヤモヤが晴れた気がした。




「遥陽も頑張れよ」



お礼にエールを返して、遥陽の肩に腕を回した。




俺だけが知っている、遥陽の秘密。

要も碧も知らない。



――遥陽には、好きな人がいる。



遥陽は、同じクラスの新川【ニイカワ】という女子に片思いしている。幼い頃からずっと一緒に育ってきた、いわゆる幼なじみ。その関係を壊すことが怖いらしい。



……と、なぜか俺に相談してきた。


まともに恋をしたことがないこの俺に、だ。




『真面目に話を聞いてくれそうだから』



相談に乗った後、遥陽は端的にそう言った。

それが俺を選んだ理由だった。



まあ、もちろん俺は真面目に聞くさ。俺は、な。


要や碧に打ち明けたら、噂になって広まる可能性大だし……。




しっかり者の遥陽に頼られたのが、すごく嬉しかった。


ちゃんとした解答なんてしてやれないだろう……というか実際できなかったけど、話を聞くことくらいはできる。


そのくらいでよければ、不器用な俺にだって、いつだって支えてやれる。