ギュゥ、と拳を握り締めた。
あんなに静まれと念じても引かなかった熱が、みるみるうちに手のひらに注がれていく。
痛い。
……どこが?
爪の先が刺さる、手が?
ううん。
ひび割れた、恋心が。
今、どうしようもなく、きみに会いたい。
「頑張ったな、幸!!」
要のあどけない笑顔に、握力が弱まっていった。
「ポジティブに捉えたら、これからは恋愛対象として意識してもらえるってことだよな?やったじゃん!」
碧が、バシッ!と強く背中を叩いて、活を入れた。
いってぇ!!本気で叩いたな!?
「んじゃー、もっと頑張って、小佐田ちゃんの好きな人の座を奪い取れ!」
「そうだ!頑張れ!!」
「奪い取るって……まあ、うん、頑張るよ」