見た目は、きっと変わらない。
甘い匂いは、もっと濃くなる。
初めの一口で、いっそ蝕んで。
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2*
眠らせたがりな毒林檎
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おひとつどうぞ。
差し出された林檎は、ひどく美味しそう。
たとえ罠でも、一口だけ。
欲に負けて頬張れば、あら不思議、瞼がとろんと下がっていく。
眠ったあの子を、助けよう。
誰かあの子を、助けてよ。
ちっぽけな自分じゃ、起こせない。
毒は時にずるく、脆く、薔薇のトゲよりずっと隠れるのがうまいんだ。
恋だの愛だの騒ぎ立て、運命の人とハッピーエンド。
それをそばで見届けたって、こっちは全然ハッピーじゃない。
地面に捨てられたあの林檎をもらってもいいか、なんて。