田中くんの手がブラウスのボタンにかかろうとした時、軽快なメロディが流れた。

田中くんもぴたりと手を止める。



「チッ……大人しく待ってなよ」


田中くんはズボンのポケットに手を入れてスマホを取り出してから、それを耳に当てて部屋を出た。


どうやら、電話らしい。


そんなことを、考えてからはっとする。


(はやく誰かに助けを呼ばなきゃ!)



なにか……助けを呼べるものは……。


ぱっと地面に落ちたままのスマホが目に留まる。


なんとかして画面に触ろうと、ロープで縛られた手を伸ばす。


そのときだった。